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「短期的な事業承継(事業譲渡・M&A)」で失敗しないための弁護士費用とサポート内容 ~事業譲渡・M&Aに強い弁護士が解説~

2024年11月07日

 従来に比べて、近年は事業譲渡やM&Aがより活発になされる時代になってきました。
 気軽な感覚で、支店を買い取るとか、特定の事業部門を買い取るという動きも増えました。相当数アクセスのあるHPを売買したいので、事業譲渡の形をとるとか、不動産だけれども節税効果を狙ってM&Aスキームを取るなど、「会社を売り買いする」という側面よりも、より柔軟な財産の売買のために事業譲渡が多用されるようになってきました。

 弊所でも、長年のお付き合いを経たうえで、事業承継(事業譲渡・M&A)に至るという場面が多かったものの、最近は、「事業譲渡のリーガルチェックのみを部分的に対応してほしい」というご依頼が増えてきました。
 そこで、本記事では、

 ①短期的な「事業承継(事業譲渡・M&A)」における弁護士の業務内容と、

 ②弁護士費用について、解説したいと思います。

1.「短期的な事業承継(事業譲渡・M&A)」における弁護士の業務内容

M&Aの流れは、概ね以下の通りです。
ⅰ)対象事業の選定
ⅱ)対象の審査と代金決定

 承継する事業にどのようなリスクがあるのか、財務内容等が優良な事業なのかどうかという、事業自体の良し悪しをみていくのが、「デューデリジェンス」と呼ばれる手続です。M&Aでは、最初から金額が決っているわけではなく、このデューデリジェンスを通して、財務内容や事業リスクなどを含めて金額を決定していくことが多いです。

 

ⅲ)契約書作成と交渉サポート
ⅳ)法的リスクの確認と対応策の提案

 スポットの事業承継のご相談で、ご依頼が多い事項です。
 デューデリジェンスは既に進んでおり、契約書作成段階からそのリーガルチェックとともに、法的なリスク審査を依頼される場合が多いです。

 

◆短期的、且つ、スポットでの依頼を想定して、ご説明しています。
 弊所にてスポットでお受けできる対応業務は、あくまでリーガルチェック等の側面であり、デューデリジェンスそのものではないということです。その「事業」が高いのか安いのか、いいものなのか、リスクのあるものなのか、というのは短期的なM&Aでは、弁護士としてもリスクチェックサポートしきることはできません。
 他方、契約書そのもののリスクや改善点について、「リーガルチェック」という形でリスク審査するという業務内容ですと、スポットでの対応が可能となります。 具体的には、M&A全体や、デューデリジェンス自体は、事業譲渡専門の企業や税理士法人などが対応しているものの、契約書等のリーガルチェックについては不安を覚えるため、弁護士事務所に依頼するというような流れです。

 弊所では、スポットでの事業承継サポートの場合には、このように弁護士がすべてサポートする内容ではなく、主にリーガルチェックを主眼とした業務内容になります。

 

2.「短期的な事業承継(事業譲渡・M&A)」における弁護士の費用

 「短期的な事業承継(事業譲渡・M&A)」については、スケジュール・規模・難易度・特殊性などが判断できないと、一概に作業量や難易度等の目途が立ちにくいため、法律相談後にお見積りをご提示いたします。しかしながら、近年このようなスポット対応業務の費用感に関する問い合わせが非常に多いことから、事業承継に関するリーガルチェックについては、「20~50万円(税別)」を目安としてお伝えしております。

 

《参考例その①》
 運送会社が、上場類似の規模の企業に会社を売却したケース。
 相手企業が比較的大規模の外資系企業であり、契約書の分量が多かった。当初、弁護士に相談していなかったが契約直前になって不安になり、弊所へ法律相談という流れであったため、作業時間が非常に短かった。
 ▷契約書分量が多く、作業時間がタイトであったため、作業負荷が大きかった。しかし、交渉にて修正できる事項が少なかったため、リスク度合いが低めと判断し、弁護士費用50万円(税別)にて対応。

 

《参考例その②》

 不動産M&Aとも呼ばれる、数億円規模の大型M&A。
 デューデリジェンス等のメインの業務については税理士が関与する企業が対応しており、弊所は、法律業務に類する契約書の審査、リスクチェックのみという業務内容。当初、税理士のみで遂行しようとしていたため、弁護士側でのリーガルチェックできる時間が非常に短く、作業負荷も大きかったという事案。

 ▷弁護士の業務内容が「契約書等のリーガルチェックのみ」ということを、依頼者側の税理士法人側がしっかりと理解しており、純粋なリーガルチェックの範疇に収まり、リスク度合いが低かった。しかしながら、作業時間が比較的タイトであったため、弁護士費用30万円(税別)にて対応。

 

《参考例その③》

 HPサイトの売買に伴う事業譲渡。
 税理士がM&Aを主導しており、弊所としては、純粋な契約書のリーガルチェックという業務内容だった。また、それに併せて、一般的なHPサイト売買に関するリスクを説明するという内容。

 ▷この案件は、分量が少ない契約書を、1カ月半後の契約日に間に合うように、リーガルチェックとリスク説明をしてほしい、という依頼者側の希望があった。比較的余裕をもって作業できたため、弁護士費用15万円(税別)にて対応。

 

3.まとめ

 近年増えている、スポット的な事業承継(M&A・事業譲渡)について、弁護士としての業務内容と弁護士費用についてお話ししました。
 弁護士費用については、

 ①作業スケジュール

 ②譲渡内容・規模・難易度

 ③業務分量などによって左右されます。

 弊所としては、これらをもとに個別でお見積りをさせていただくのが基本となります。もっとも、費用面の問い合わせが多いため、「20~50万円(税別)」程度の弁護士費用とお伝えするようにしておりますが、この費用範囲内ではお受けできない案件や、そもそもスポットでの受任が馴染まない案件もございます。

 

 「事業承継(M&A・事業譲渡)」に関する弁護士を選ぶ際、一つの参考になれば幸いです。

 

【監修:弁護士法人山村法律事務所】