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中小企業経営者必見 支払督促と少額訴訟のメリット・デメリットとは?

2024年11月14日

 取引先からの未払い、債権回収の問題に直面している中小企業経営者の方へ。

 

 未払い金の回収方法として「支払督促」と「少額訴訟」のどちらを選ぶべきか悩むことがあるかもしれません。本記事では、これら2つの手続きの特徴、メリット・デメリットを詳しく解説し、どのような状況でどちらを選択するべきかについても触れます。
 未払い問題解決の参考にしてください。


 【債権回収については、こちらもご参考ください。】

債権回収手続き -方法とポイント-

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支払督促とは?

 支払督促とは、書面だけで進めることができる簡便な債権回収手続きの一つです。裁判所に申立てを行い、相手が異議を申し立てなければ、裁判所から強制執行が可能な債務名義を取得することができます。異議がないまま一定期間が経過すると、強制執行の準備が整い、未払い金の回収に移ることが可能となるため、相手方が反論してこなければ、非常に迅速かつ簡便な手続の上で、強制執行へと移行することが可能になります。

支払督促のメリット

1.書面審査のみで進行

 支払督促は、書面による審査のみで進行するため、実際に裁判所に出向く必要がありません。これは、忙しい経営者にとって大きなメリットです。弁護士に依頼する際にも出頭の手間がないため、比較的弁護士費用が廉価で済む傾向にあります。
2.異議がなければ自動的に強制執行へ
 相手が支払督促に対して異議を出さなければ、裁判所の期日を待つことなく、そのまま強制執行へと進むことができます。迅速に未払い金を回収できる可能性があります。

支払督促のデメリット

1.異議を出されると通常訴訟に移行
 支払督促に対して相手が「異議申立て」を行った場合、自動的に通常訴訟に移行してしまいます。通常訴訟では、解決までに半年から1年以上かかるケースもあり、手続きが長引くことが多いため、時間とコストが増加するリスクがあります。
2.利用シーンが限定される
 異議が出る可能性が高い場合や、相手方の財産が乏しく強制執行によっても回収の確実性が低いと判断される場合には、支払督促の利用はリスクが伴います。
3.金額に制限がない

 後述する少額訴訟と比べると、金額に制限がないというメリットがあります。もっとも、高額な債権回収ともなると、そもそも相手方からの反論が考えられるため、支払督促手続を経ることなく、最初から通常訴訟を起こしたほうが効率的な場面も多いため、利用場面は少額な債権回収であり、相手方との争点が少ないものでの利用が考えられます。

少額訴訟とは?

 少額訴訟は、60万円以下の金銭請求に利用できる裁判手続きで、原則として1回の期日で審理が完結するのが特徴です。迅速に解決できるため、少額の未払い金回収には効果的な手段とされています。
 【裁判所HP】https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_04_02_02/index.html

少額訴訟のメリット

1.迅速な解決が可能
 少額訴訟は、原則1回の期日で審理が終了し、その場で判決が下されるため、短期間での解決が期待できます。未払い金を早急に回収したい中小企業には最適です。
2.和解の機会が多い
 少額訴訟では、裁判の途中で和解を提案されることが多く、分割払いなどでの解決が図れるケースもあります。特に相手方が出頭した場合、和解による早期解決が可能です。

少額訴訟のデメリット

1.期日に出頭が必要
 少額訴訟の場合、1回とはいえ、裁判所に出頭する必要があります。これは、経営者のスケジュールに負担がかかることも考えられます。弁護士に依頼する場合にも、日当分の負担が生じることが多いです。
2.欠席された場合のリスク
 相手が裁判に欠席した場合には、判決は得られますが、その後、強制執行手続きに進むためにはさらに手続きが必要になります。
3.制限

 金額が60万円以下という少額の債権回収でしか利用できず、1年のうちに10回までという制限があります。

どちらを選ぶべきか? 状況に応じた最適な選択

 支払督促と少額訴訟、それぞれにメリットとデメリットがありますが、以下のようなケースに応じて選択肢が変わります。
1. 「少額訴訟・相手出頭・和解による解決」
 相手方が支払い意志を持ち、和解による解決が見込まれる場合、少額訴訟で和解に持ち込むことが最善の選択肢です。分割払いでも合意が得られれば、手続きがスムーズに進みます。
2. 「少額訴訟・相手欠席・判決取得」や「支払督促・異議なし・判決相当の書面取得」
 相手方が裁判に出席しない、または支払督促に異議を申し立てない場合は、判決や書面を得て強制執行に進むことで回収が可能です。これにより、迅速かつ効果的に未払い金の回収を進めることができます。
3. 支払督促は時効の中断には有効
 支払督促は、請求の時効を中断する目的で利用されるケースもありますが、通常訴訟に移行するリスクがあるため、慎重な判断が求められます。

まとめ 弁護士のサポートで最適な債権回収を

 未払い金の回収は中小企業にとって大きな負担となることが多いため、早めの対応が求められます。「支払督促」と「少額訴訟」のどちらを選ぶかは、相手方の反応や状況に応じて慎重に検討する必要があります。いずれの場合でも、弁護士に相談することで、適切な手続きや解決方法を見つけることができます。未払い金回収でお困りの方は、債権回収の専門弁護士にご相談ください。

 

【弁護士の一言】
 少額の債権回収において強制執行へと移行すると、相手の財産の多寡によって、確実に回収できるかどうかが左右されます。そもそも強制執行手続の費用や負担も大きく、極力、分割払いであっても「和解」によって回収できるのが一番よいと思います。
 もっとも、それでも強制執行を想定しなければならない場面でしたら、「少額訴訟」と「支払督促」は一長一短がありますので、そのときの背景事情や全体的なコスト、相手方の資産状況などを見極め、どちらの手続をとるのか、慎重な検討が必要になるでしょう。
 迷ったときには、弊所までお問い合わせください。

【監修:弁護士法人山村法律事務所】