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【改正建設業法】2025年2月1日施行!建設業法施行令改正に伴う監理技術者等配置義務の変更点とは?横浜の弁護士が解説

2025年05月26日

今回は20252月に施行された建設業法の改正について、監理技術者等の配置義務を中心に解説致します。

 

建設業界を取り巻く環境は常に変化しており、制度もそれに合わせて見直されています。この度、物価や人件費の高騰といった近年の状況を踏まえ、建設業の各種要件や技術検定の受検手数料が見直されることとなり、「建設業法施行令及び国立大学法人法施行令の一部を改正する政令」が閣議決定されました。※詳細はこちらからもご確認ください。

 

この改正のうち、要件の見直しに関する部分は令和7年(2025年)21日(土)から施行されました。この中で今回は専任の監理技術者等を要する請負代金額の下限の改正について解説致します。

 

まず、今回の建設業法改正で変更された主なポイントを以下の表にまとめます。

 

項目

改正前

改正後(20252月施行)

特定建設業許可が必要となる下請金額

4,500万円以上(建築一式工事は7,000万円以上)

5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上

監理技術者等の専任が必要となる工事

4,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)

4,500万円以上(建築一式工事は9,000万円以上

施工体制台帳の作成義務が生じる工事

4,500万円以上

5,000万円以上

特定専門工事の対象となる金額

4,000万円以下

4,500万円以下

 

公共性のある施設等に関する重要な建設工事(請負代金の額が4,500万円(建築一式工事の場合は9,000万円)以上のもの)に設置される主任技術者又は監理技術者は、工事現場ごとに専任の者でなければなりません(専任特例の場合を除く)。

 

「専任」とは、他の工事現場に係る職務を兼務せず、勤務中は常時継続的に当該工事現場に係る職務にのみ従事していることをいいます。

 

ただし、必ずしも工事現場への常駐が必要なわけではなく、合理的な理由(研修、休暇など)で短期間現場を離れることや、適切な体制確保を条件に終日現場を離れることなどが認められる場合があります。

 

改正後の特定建設業許可が必要になる下請金額の解説記事はこちらから。

 

  • 「監理技術者等」とは?

主任技術者、監理技術者、そして監理技術者補佐の総称です。建設業法では、建設工事の適正な施工を確保するために、工事現場における技術上の管理を行う者として、これらの技術者を設置することを求めています。では、主任技術者と監理技術者を細かく解説してきます。

 

主任技術者

 

設置される工事:原則として全ての建設工事で、工事現場に置かなければならない技術者です。

 

役割は請け負った建設工事の「請け負った範囲」における施工管理を行います。具体的には、施工計画の作成、工程管理、品質管理、施工に従事する者への技術上の指導監督といった職務を誠実に行います。下請負人がいる場合は、その主任技術者は請け負った範囲の施工管理を行います。電気工事や管工事などで複数の専門工事を取りまとめる下請の主任技術者は、元請の技術者に近い役割を担うこともあります。

所属する建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にあることが必要です

 

監理技術者

 

設置される工事:発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者が、その工事を施工するために締結した下請契約の合計額が一定金額以上となる場合に、主任技術者に代えて設置が必要となります。

 

令和721日からは、下請契約の合計額が5,000万円(建築一式工事の場合は8,000万円)以上の工事となります。

 

役割は建設工事の「工事全体」の統括的な施工管理を行います。主任技術者と同様に、施工計画作成、工程管理、品質管理、技術上の指導監督といった職務を誠実に行います。工事全体を見渡し、下請間の工程調整なども行います。

 

一定の国家資格や実務経験が必要ですが、特に土木工事業、建築工事業など「指定建設業」と呼ばれる業種に係る工事の監理技術者は、一級施工管理技士等の国家資格者または国土交通大臣が認定した者に限られます。

 

その他に、監理技術者として選任されるには、資格者証の交付を受けており、かつ過去5年以内に監理技術者講習を受講している必要があります。工事現場では、発注者などから請求があった場合に資格者証を提示し、職務中は常に携帯する必要があります。

主任技術者と同様に、所属する建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にあることが必要です。

 

・まとめ

どの技術者も、建設工事の品質や安全を守る上で欠かせない存在です。法改正により、これらの技術者の設置が必要となる請負金額や下請金額の基準が見直されることで、建設工事の適正な施工確保がより一層図られることが期待されます。

【弁護士の一言】

 

 建設業法の規制は細かいですが、現実問題として法規制に対して、おざなりな業者がいるのも事実です。もっとも、昨今は、国民全体のコンプライアンス意識が高まっているとともに、建設工事では、近隣トラブルが多発しています。その近隣からのクレームの際に、「あんたのところの会社は、専任の技術者をちゃんとおいてるんですか?」なんてクレームが入る事件も起きました。近隣の方の親族に、大手ディベロッパー勤務の方、建設業関連にお勤めの方などがいる場合、こういうクレームも増えてきました。ただ、もともとがクレームだったとしても、法規制を遵守していないと、行政から指導を受けるのは建設業者です。

 実際、弊所でも「改正建設業法」をしっかりと遵守していくための、「建設事業部用の顧問弁護士になってくれないか?」なんてご相談もあったぐらいです。非常に細かな規制ですが、現代ではコンプライアンス体制をきっちり築いていくことが会社を守る大切なポイントになってきたといえるでしょう。

 

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