古物買取業は“クレーム対応”で差がつく。顧問弁護士が支える消費者トラブル対応の実務

2026年02月12日

古物買取業において、事業の成否を分けるのは、必ずしも仕入れや販売の巧拙だけではありません。実務の現場で多くの経営者を悩ませているのが、消費者や顧客からのクレーム対応です。

クーリングオフをめぐるトラブル、高齢者との契約に対する後日の異議、理不尽な要求やいわゆるカスタマーハラスメントなど、対応を誤れば、金銭的損失だけでなく、評判や事業継続にも影響しかねません。こうした場面では、場当たり的な対応では限界があります。本稿では、古物買取業において顧問弁護士が果たす役割、とりわけ消費者トラブル対応を“現場で止める”実務の重要性について整理します。

 

1)古物買取業のリスクは「仕入れ」より「顧客対応」にある

古物買取業では、真贋判定や相場変動といった仕入れ面のリスクに注目が集まりがちですが、実際のトラブルは「取引が終わった後」に発生することが少なくありません。たとえば、買取後になって突然クーリングオフを主張されたり、家族から「高齢の親が不利な契約を結ばされた」と抗議を受けたりするケースです。また、「説明を受けていない」「強引だった」といった主張がSNSや口コミで拡散され、事実関係とは別の次元で問題が大きくなることもあります。

こうした顧客対応のトラブルは、単発のクレームにとどまらず、返金請求や業務停止リスク、行政対応へと発展する可能性があります。しかも、その多くは、現場担当者の対応や説明の仕方、記録の残し方といった日常業務の積み重ねによって左右されます。場当たり的に対応していると、「どこまで応じるべきか」「ここで拒否してよいのか」の判断がぶれ、結果的に不利な解決を招きかねません。だからこそ、古物買取業では、顧客対応を法的に整理し、継続的に支える顧問弁護士の存在が重要になります。

 

2)クーリングオフ・高齢者との契約で起きやすい落とし穴

古物買取業における消費者トラブルで、特に多いのがクーリングオフをめぐる問題です。訪問買取や出張買取では、取引形態によってクーリングオフが認められる場合があり、事業者側がその適用範囲を正確に理解していないと、後からトラブルが生じます。「説明した」「納得していたはずだ」と感じていても、書面交付の不備や説明不足があれば、事業者に不利な判断がなされる可能性は否定できません。

また、高齢者との契約では、本人が契約内容を理解していたか、判断能力に問題がなかったかといった点が、後日争点になることがあります。取引当時は問題なく見えても、家族から「不当に安く買い取られた」「強引だった」とクレームが入るケースも少なくありません。こうした場面では、価格の妥当性そのものよりも、説明の過程や同意の取り方、記録の残し方が重視されます。クーリングオフや高齢者対応は、感覚や経験則で判断するのではなく、あらかじめ法的な整理を踏まえた対応ルールを設けておくことが不可欠です。

 

3)カスハラ・虚偽申告への現実的な対応ライン

 

近年、古物買取業では、いわゆるカスタマーハラスメントへの対応も避けて通れません。「返したはずの品物が戻ってこない」「盗まれたのではないか」といった主張や、根拠のない返金要求、過度に威圧的な言動を繰り返す顧客への対応に、現場が疲弊しているケースも多く見られます。こうした場面で重要なのは、すべての要求に応じることでも、感情的に突っぱねることでもありません。

虚偽申告が疑われる場合には、取引時の身分証確認、買取伝票、写真記録、やり取りの履歴といった客観的な証拠が、事業者を守る最大の材料になります。これらが適切に整備されていれば、不当な要求に対しても、法的根拠をもって対応を打ち切ることが可能です。一方で、記録が不十分なまま強硬な対応を取ると、かえって紛争が長期化するおそれがあります。

どの時点で交渉を終了し、どの段階から法的対応に切り替えるべきかは、現場判断だけでは難しい問題です。顧問弁護士が関与していれば、「このケースはここまでが妥当」「これ以上は応じる必要がない」といった線引きを即座に示すことができます。カスハラ対応では、感情ではなく、記録とルールに基づく対応を徹底することが、事業を守るうえで不可欠です。

4)顧問弁護士が整備する現場対応の仕組み

消費者トラブルを個別対応で乗り切ろうとすると、どうしても判断が属人的になり、対応のばらつきやミスが生じやすくなります。顧問弁護士の役割は、トラブルが起きた後に対応するだけでなく、日常業務の中に「揉めにくい仕組み」を組み込むことにあります。たとえば、出張買取や訪問買取における説明内容や確認事項を整理し、現場で使える対応マニュアルを整備することで、担当者ごとの差を減らすことができます。

また、クレームが入った際の初動対応についても、「誰が、どの段階で、どこまで対応するのか」をあらかじめ決めておくことが重要です。軽微なクレームであれば現場や管理者が対応し、法的判断が必要な場合には速やかに弁護士が関与する、といった役割分担が明確であれば、不要な拡大を防ぐことができます。

顧問弁護士は、個々の事案について「どこが落としどころか」「ここで引くべきか」といった判断を法的観点から示すことで、現場の迷いを減らします。こうした仕組みを整えることが、結果としてクレーム対応の負担軽減と事業の安定につながります。

 

古物買取業向け労務管理の記事はこちら

5)企業法務専門・複数弁護士体制だからできる支援

消費者トラブルへの対応では、「いつ起きるか分からない」「初動を誤ると一気に悪化する」という点が、古物買取業の経営者にとって大きな不安要素になります。こうした場面で重要なのは、単に法律を知っている弁護士ではなく、日常業務や取引実態を理解したうえで、迅速に判断を示せる体制です。企業法務を専門とする法律事務所が顧問として関与することで、現場の事情を踏まえた実務的な助言が可能になります。

また、複数の弁護士が在籍している体制であれば、担当弁護士が不在の場合でも、緊急時に連絡がつき、対応を引き継ぐことができます。クーリングオフやカスハラ対応など、時間を置かずに判断が求められる場面では、この「すぐ相談できる」という点が大きな差になります。

単発の法律相談では、その都度事情を説明する必要がありますが、顧問契約であれば、過去の経緯や社内ルールを共有したうえで対応できるため、判断のスピードと精度が格段に高まります。消費者トラブルが日常的に発生し得る古物買取業において、顧問弁護士は単なる相談先ではなく、事業を支える実務パートナーといえるでしょう。

弁護士紹介ページはこちら

 

【弁護士の一言】

弊所にご相談いただく古物買取業の企業様からは、「クーリングオフの主張やトラブルの兆しがある場合には、原則として返却に応じている」というお声を多く伺います。

一方で、一度不信感を抱いた顧客から、度を越した過剰な要求がなされるケースも少なくありません。そうした場面では、どこまで対応し、どこで線を引くべきかという判断が、顧問弁護士に求められる重要な役割だと感じています。中には、警察や消費者センター、行政機関などへ次々とクレームを入れる方もおり、個別案件ごとに法的観点から整理し、冷静に対応を積み重ねていくことが、現在の事業環境では非常に重要になっています。

 

問い合わせはこちら