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【弁護士が解説】日本のAI規制の最新動向と企業が取るべき対策

2025年03月14日

 AIの発展がビジネスに革新をもたらす一方で、知的財産や個人情報の問題、規制の変化にどう対応すべきか悩んでいる企業も多いでしょう。本記事では、AIを活用する企業が知っておくべき日本の最新法規制の動きと、具体的な対策を「わかりやすく」解説します。
(※日々アップデートされていくテーマですので、2025年3月までの情報をもとにしております。)

1. 日本のAI規制はどうなっているのか?

 現在、日本にはAIの利用を直接規制する法律はありません。
 では、何もルールがないのかというと、そうではなく、「ガイドライン」や「自主規制」という形で政府がルールを示しています。
 これは、法律で厳しく縛るのではなく、企業が柔軟にAIを活用できるようにするためのアプローチです。しかし、今後「法規制が必要ではないか?」という議論も活発化しており、日本政府も慎重に検討を進めています。

2. AI規制の最新動向:今、政府は何を考えているのか?

 日本政府は、世界的な動きに合わせてAIのルール作りを進めています。
 ここで「最近、どんな動きがあったのか?」を整理しましょう。

 

  2023年5月:G7広島サミット
 世界の主要7カ国(G7)が広島で集まり、「AIの活用と規制の国際ルールを作ろう」と合意しました。これを受け、日本でもAIに関するルールを整理する動きが始まりました。

 

  2024年4月:「AI事業者ガイドライン」の公表
 経済産業省と総務省が、企業向けのAI活用に関するルールをまとめました。これは「AIを使うなら、最低限こういうことに注意してくださいね」というガイドラインです。

たとえば、
 - AIの判断が間違っていた場合、誰が責任を取るのか?
 - AIが勝手に個人情報を学習しないようにするには?
 - AIを利用した詐欺などを防ぐには?
といった点について、企業が守るべきルールを示しています。

 

  2024年6月:「統合イノベーション戦略2024
 政府は今後の方針として「ガイドラインだけでなく、法律の整備も視野に入れる」と発表しました。この発表を受け、同年8月から「AI制度研究会」という会議が始まり、AI規制の必要性が検討されています。現在はガイドライン中心ですが、将来的には法律も導入される可能性が高まっているのが現状です。

3. 知的財産(著作権・肖像権)はどうなる?

 企業がAIを活用する際に、最も気をつけなければならないのが知的財産権の問題です。

 

 2024年3月・5月:知的財産関連のガイドライン
 日本政府は、AIと著作権の関係を整理しようと、以下のような指針を公表しました。
  - AIが既存の著作物を学習することは、著作権侵害にならないか?
  - AIが作成した作品に、著作権は発生するのか?

 現状、AIが学習するデータが「著作権侵害になるケース」と「ならないケース」の線引きが曖昧であり、これから本格的なルール作りが進むと予想されます。

肖像や声の保護も議論が進む

 最近では、AIを使って俳優や声優の声を合成したり、有名人の顔を無断で使用するディープフェイクの問題が浮上しています。日本政府は「肖像や声の権利をどう守るか?」について、法律を作るかどうか議論を進めています。
 企業としては、「AIを使って何かを生成する場合、誰かの権利を侵害していないか?」を慎重に確認する必要があります。

4. 個人情報の取り扱いも重要なポイント

 AIの進化に伴い、個人情報の保護も大きな課題となっています。

 

  2023年6月:個人情報保護委員会の注意喚起
  政府は、ChatGPTのような生成AIが個人情報を勝手に学習するリスクについて注意喚起を行いました。

  - 社内の機密情報をAIに入力すると、その情報が外部に流出する可能性がある
  - 顧客の個人情報をAIが学習し、それを第三者が利用できてしまうリスクがある

  こうしたリスクを防ぐために、企業はAIの利用ルールを明確にすることが求められています。

5. 企業が今すぐ取るべき3つの対策

 今後の法規制を見据え、企業は以下の3つの対策を講じるべきです。

AIの利用ルールを明確化する

 – AIを活用する場合の社内ルールを作成
 - どのデータを学習させるかを明確にする
 - AIが出した判断の責任を誰が負うのか決める

6. まとめ

 AI技術の進化により、企業は新たなビジネスチャンスを得る一方で、法規制への対応が不可欠になっています。特に、知的財産権・個人情報保護・ガイドライン遵守の3点が重要です。

【弁護士の一言】

 近年生成AI技術の発達は目覚ましく、生成AIの事業利用が当たり前になってきています。ただ、最新の技術であり、企業・ビジネスパーソンとしての関心は、「便利だけど、法的な問題ってないの?」です。このような疑問に答えるため、また、私自身も非常に興味がある分野ですので、「生成AIに関する法律問題」について、アップデートしていく情報をわかりやすくお伝えできればと考えております。
 現時点では、ガイドライン遵守を意識するとともに、問題の起きやすい分野として、「個人情報保護との抵触」と「著作権等知的財産権との抵触」問題です。特に、私は大学院時代には知的財産権を専攻しており、ゼミ・勉強会にも参加してきましたが、知的財産権って社会の進歩や企業、世界情勢により例外規定が設けられやすいので、アップデートの頻度が非常に高いのですね。
 今回ご紹介した整理も、また古い情報になっていくかもしれませんが、「生成AIに関する法律問題」については、適宜、今後のアップデートを追っていこうと思います。

【監修:弁護士 山村 暢彦】