【運送業の法務は誰に頼む?】経営を守る弁護士の選び方と3つのチェックポイント

2025年08月18日

「うちは運送業だから、法務はあまり関係ない」──そう思われる方も多いかもしれません。
しかし現実には、ドライバーの長時間労働や未払い残業代、荷主との契約トラブル、運送事故に伴う損害賠償、さらには突然の行政指導など、運送業は法的リスクに常にさらされていますさらに2024年問題に代表されるように、労働時間や取引ルールをめぐる法改正も加速しており、経営を守る法務体制の構築は急務となっています。とはいえ、どんな弁護士でもよいわけではありません。運送業には独特の慣習や契約構造があるため、業界理解・スピード対応・実務に即したアドバイスができる弁護士でなければ、かえって混乱を招くおそれもあります。

本記事では、運送業の現場で信頼される弁護士の特徴と、選ぶ際に注目すべき3つの視点をご紹介します。顧問弁護士の見直しを検討されている経営者の方は、ぜひご参考ください。

業界特有のリスクを理解しているか?

運送業には、他業種と比べて独自の法的課題が多くあります。たとえばドライバーの長時間労働や未払い残業代に関するトラブルは、慢性的かつ構造的な問題であり、労働基準監督署の是正勧告や訴訟に発展するケースもあります。

さらに、荷主との契約においても、損害賠償の範囲や運送責任が曖昧なまま業務が進められていることが多く、事故や遅配が発生したときに全責任を押しつけられるリスクがあります。また、標準的な運賃を無視した過剰な値下げ要求や、書面交付義務違反、不当な手形の使用など、下請法・独占禁止法に抵触しかねない取引慣行も散見されます

これらのリスクに適切に対応するには、貨物自動車運送事業法や下請法など業界特有の法律に精通し、現場感覚を持つ弁護士が必要不可欠です。テンプレートの契約書を機械的に確認するだけの対応では、実効性のあるリスク管理は難しいのです。

経営者視点で「使えるアドバイス」ができるか?

運送業における法務対応は、法律的に「正しいか」よりも、「今どう動くべきか」が問われます。たとえば是正勧告への対応でも、法違反の指摘にとどまらず、現場業務を止めずにどのように体制を見直すか、どの段階で何を優先すべきかまで踏み込んで提案できる弁護士でなければ、経営判断の支えにはなりません。さらに、荷主との交渉や事故処理の場面では、相手との関係性や企業の信用、将来の取引継続を考慮した“落としどころ”の設計力も必要です。条文や理論だけでは、現実の交渉には対応できません。 加えて、運送業はスピードが命です。ドライバーの問題や荷物の遅配、行政からの問い合わせなど、「今すぐ判断が必要」な局面が非常に多いため、即応力のある弁護士でなければ間に合いません

つまり、重要なのは「法律的に正しいこと」だけでなく、“経営にとって使える判断”ができる弁護士かどうかそれが信頼できる法務パートナーを見極める決め手となります。

顧問として日常業務を理解し、予防法務を重視できるか?

 

法的トラブルが起きてから相談するのでは、手遅れになることも少なくありません。むしろ、日々の業務や人員体制を把握し、トラブルの芽を早期に摘む「予防法務」の体制が、現代の運送業には求められています。たとえば、「ドライバーの労働時間が週60時間を超え続けている」「荷主から書面なしで新しい業務を依頼されている」こうした小さな違和感を、普段から社内事情を理解している弁護士が拾い上げ、リスクを未然に防ぐのです。 また、契約書の整備や就業規則の改訂なども、「現場で本当に運用できるか?」という視点で設計できるかどうかで、実効性が大きく変わります。単なる法令順守ではなく、“動く仕組み”をつくることが、真の法務支援です

このような支援は、スポット相談では難しく、継続的に関わってくれる顧問弁護士だからこそ可能な役割です。弁護士を「トラブル処理の外注先」ではなく、「社外の経営幹部」として位置づけることで、組織の安心と成長の土台が整います。

顧問弁護士を導入した事例についての記事はこちら

まとめ、「どの弁護士に頼むか」で運送業の経営は変わる

運送業の経営には、労務、契約、事故、行政対応など多岐にわたる法的リスクが伴います。これらに的確に対応するには、業界の構造や現場の実態を理解した弁護士が不可欠です。選ぶべき弁護士は、「法律に詳しい人」ではなく、

・業界特有の課題に通じているか

・経営者視点で実務的な提案ができるか

・顧問として日常業務に踏み込み、予防法務を実践できるか

  • といった“経営の右腕”になり得る人材かどうかがポイントです。

法務はコストではなく、“経営リスクを減らす投資”です。日々の業務を理解し、トラブルを未然に防ぎ、いざというときに即応してくれる弁護士がいれば、安心して本業に集中できる環境が整います弊所では、運送業に精通した顧問弁護士として、多数の企業さまを継続的にサポートしております。

顧問契約をご検討中の企業さまには、初回相談を無料で承っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

弁護士紹介ページ

【弁護士の一言】

運送業は、BtoB契約が多いことから、予防法務が徹底されておらず、現代でも法務体制が脆弱なことが多い業種の一つだと思います。ただ、だからこそ、何か起こったときのダメージも大きく、コンプライアンス体制の構築は急務だと思います。典型的には、①事故系(荷下ろし・車両衝突)、②労働トラブル、③取引先トラブル(契約条件、支払時期、解約)などが多いのですが、事業の性質上定期的に発生せざるを得ない部分もありますが、そもそもの備えが不足している企業も非常に多いと思います。弊所では、運送業の顧問弁護士業務を長年対応してきましたので、このあたりのトラブルの勘所を押さえられているかと思います。顧問検討の際には気軽にお声がけいただけると幸いです。

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